生命保険の解約返戻金とは?仕組み・税金・代替手段を解説
この記事でわかること(30秒まとめ)
- 解約返戻金とは、保険を途中解約したときに戻るお金のこと。定期保険・医療保険はほぼゼロ、終身・学資・個人年金はあることが多い
- 解約返戻金は一時所得として所得税の対象になる場合がある(国税庁No.1490・No.1755)
- 課税の計算式: {(解約返戻金 − 正味払込保険料) − 特別控除50万円} × 1/2 が課税対象
- 元本割れ(返戻金 < 払込保険料)の場合は所得税は発生しない
- 給与所得者は一時所得(課税部分)が年間20万円を超えると確定申告が必要(国税庁No.1903)
- 解約の前に「払済保険」「延長保険」「減額」「契約者貸付」という代替手段を比較してみることをおすすめします
- 税額・要否の最終判断は税理士・保険会社・税務署に確認してください
解約返戻金とはどんなお金ですか?
解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは、保険を途中で解約したときに保険会社から払い戻されるお金です。 保険契約者が積み立てた保険料の一部が返還されるイメージですが、 保険の種類・加入期間・払込方法によって金額は大きく異なります。 「解約返戻金が必ずある」わけではなく、保険商品によっては非常に少額またはゼロになります。
| 保険の種類 | 解約返戻金の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 定期保険 | ほぼゼロ〜少額 | 保障に特化。保険料が安い |
| 医療保険・がん保険 | ほぼゼロ〜少額 | 入院・手術保障に特化。貯蓄性なし |
| 終身保険 | 払込完了後は高め | 払込期間中は元本割れの場合も |
| 学資保険 | 満期に近いほど高い傾向 | 途中解約では元本割れになりやすい |
| 個人年金保険 | 長期加入ほど高い傾向 | 受取開始前の解約は元本割れも |
具体的な解約返戻金の金額は、保険証券の「解約返戻金表」または保険会社への問い合わせで確認できます。 金額は商品・経過年数ごとに異なるため、このページで個別の金額を案内することはできません。 必ず保険会社に直接お問い合わせください。
生命保険を解約するときの手順(一般的な流れ)
生命保険の解約手続きは、保険会社や商品によって細部が異なります。 以下は一般的な流れです。詳細は保険会社にご確認ください。
保険証券と契約内容を確認する
保険証券には、契約者・被保険者・保険金額・保険期間・解約返戻金の有無などが記載されています。解約返戻金の金額は、商品の種類や経過年数によって大きく異なります。具体的な返戻金額は保険会社に問い合わせるか、マイページで確認できます。
定期保険・医療保険は解約返戻金がほぼゼロ、または非常に少額の場合があります。終身保険・学資保険・個人年金は返戻金があることが多いです。
保険会社に解約を申し込む
保険会社のコールセンター・マイページ・代理店(担当者)のいずれかに解約の意思を伝えます。保険会社によってはオンラインで手続きできる場合もあります。担当者から解約書類が送付されます。
解約前に「払済保険」「減額」「保険料払込猶予」などの代替手段を検討するよう案内される場合があります(後述のセクションも参照してください)。
解約書類に記入・返送する
送付された解約請求書に必要事項を記入し、保険証券のコピーや本人確認書類とともに返送します。書類が保険会社に受理された日が解約日となるのが一般的です。
解約請求書への署名・捺印の方法(自筆・実印など)は保険会社によって異なります。不明な点は担当者に確認してください。解約返戻金が指定口座に振り込まれる
書類受理後、通常3〜7営業日程度で指定の口座に解約返戻金が振り込まれます。保険会社や商品によって振込までの期間は異なります。
解約返戻金の振込後、税金の計算が必要になる場合があります。詳細は後述の「税金」セクションと国税庁の情報をご確認ください。
解約書類の種類・送付方法・本人確認の方法・解約返戻金の金額・振込までの期間は、保険会社・商品によって異なります。手続き前に保険会社のコールセンターまたはマイページで確認してください。
生命保険文化センター公式で最新情報を確認解約返戻金に税金(一時所得)はかかりますか?
保険契約者(保険料を負担した人)と受取人が同一の場合、解約返戻金は一時所得として所得税の対象になります。 ただし、受け取った金額が払い込んだ保険料の合計額を下回る(元本割れ)場合は所得税は発生しません。 以下の計算式は国税庁が定めたものです(国税庁 No.1490「一時所得」、2026-06-02確認)。
| 計算のステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 差益を計算する | 解約返戻金 − 正味払込保険料(受取配当金があれば差し引く) |
| ② 特別控除を差し引く | ① − 特別控除額(最高50万円)= 一時所得の金額 |
| ③ 課税対象は1/2 | 一時所得の金額 × 1/2 = 他の所得と合算して税率適用 |
たとえば、払込保険料合計200万円・解約返戻金300万円の場合(簡略例):
- 差益: 300万円 − 200万円 = 100万円
- 特別控除後: 100万円 − 50万円 = 50万円
- 課税対象: 50万円 × 1/2 = 25万円(この25万円を他の所得に合算)
上記は概算の計算例です。実際の税額は所得税率・住民税・他の一時所得との合算状況によって変わります。 必ず税理士・FP・最寄りの税務署に個別の状況をご相談ください。
契約者と受取人が異なる場合は贈与税
契約者(保険料負担者)と解約返戻金の受取人が別人の場合は、 所得税ではなく贈与税の対象になります (国税庁 No.1755、2026-06-02確認)。 家族名義の保険を解約する場合などは、誰が保険料を負担してきたか確認することをおすすめします。
源泉分離課税が適用される場合(確定申告不要)
一時払養老保険等で保険期間が5年以下のものは、 20.315%の源泉分離課税が適用され、確定申告は不要です。 ご自身の保険がこれに該当するかは保険会社にご確認ください (国税庁 No.1755)。
確定申告が必要かどうかの判断基準
給与所得者(会社員・パート等)の場合、 解約返戻金を含む給与以外の所得(一時所得の課税対象部分 = 1/2後の金額)が年間合計20万円を超えると確定申告が必要です (国税庁 No.1903、2026-06-02確認)。 確定申告が必要かどうかの最終判断は税理士または税務署にご確認ください。
一時所得の計算や確定申告の手続きは、姉妹サイトのツール・テンプレートをご活用ください。
- keisan-navi.jp(一時所得計算ツール) ― 解約返戻金・払込保険料を入力して課税対象額を無料で計算
- template-free.jp(確定申告書テンプレート) ― 一時所得を含む確定申告書の無料テンプレートをダウンロード
解約 vs 払済 vs 延長保険 vs 減額 vs 契約者貸付:5択の比較
| 比較項目 | 解約 | 払済保険 | 延長保険 | 減額 | 契約者貸付 |
|---|---|---|---|---|---|
| 保険料の支払い | 不要(終了) | 不要(終了) | 不要(終了) | 減額後の保険料を継続 | 手続き不要(貸付なので) |
| 保障(保険金) | なくなる | 保険金額は下がるが継続 | 保険金額は変わらず継続 | 保険金額が下がり継続 | 変わらず継続 |
| 保険期間 | 終了 | 元の保険期間のまま | 短縮される | 元の保険期間のまま | 元の保険期間のまま |
| 解約返戻金 | 受け取れる | なくなる場合が多い | なくなる | 減額分は返戻金が出る場合も | 返戻金を担保に借入(返済必要) |
| 元に戻せるか | 再申込・再審査が必要 | 一定期間内なら復旧可(保険会社による) | 原則不可 | 不可(保険金額は下げたまま) | 返済すれば元の状態に戻る |
| 向いている状況 | 保険が不要になった・保障内容が合わなくなった | 保険料が払えないが保障は残したい | 保障額を維持したいが保険料が払えない | 保険料を下げたいが保障はある程度継続したい | 一時的に資金が必要だが保険を手放したくない |
上表はあくまで一般的な特徴の比較です。 どの選択肢が最適かは、保険の種類・加入年数・家計の状況・今後の保障ニーズによって異なります。 解約を急がずに、まず保険会社のコールセンターやFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。 「解約すべきか」の判断は、このページでは行いません。
解約タイミングによって返戻金はどう変わりますか?
- 解約手数料 ¥0(多くの場合。保険会社に確認)
- 加入直後〜数年 返戻率が低い(10〜50%台になることも)
- 払込完了後 返戻率が高くなる傾向(商品・加入期間による) 条件付き
- 一時払い・5年以内 源泉分離課税(20.315%)が適用(確定申告不要) 条件付き
- 差益が50万円以下 一時所得の特別控除内→所得税は発生しない
おすすめ
払込期間が完了した後の解約は返戻率が高くなる傾向があります。また、差益が50万円(特別控除)以内であれば一時所得の課税が発生しません。具体的な返戻金額は保険会社にお問い合わせください。
避けたいタイミング
加入直後や低解約返戻金型の払込期間中は返戻率が低いため、元本割れになりやすいです。ただし「損か得か」の判断は個別状況によるため、FP・保険会社にご相談ください。
上記は一般的な傾向です。実際の返戻率は商品・保険会社・経過年数によって大きく異なります。
「いつ解約すると最も返戻金が多いか」は商品・契約内容によって大きく異なります。 保険証券に記載の「解約返戻金額表」または保険会社のシミュレーションツールで確認することをおすすめします。 上記の内容はあくまで一般的な傾向であり、個別の金額・税額は保険会社・税理士にご確認ください。
手続きで困ったときのトラブル対処法
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 解約書類の記入方法がわからない | 解約請求書の項目が多く・署名・捺印の仕方が不明 | 保険会社のコールセンターまたは担当者に電話し、記入見本を送ってもらうよう依頼してください。電話で一緒に確認しながら記入することも可能です。 |
| 本人が入院中・高齢で書類に署名できない | 本人の健康状態により自筆署名が難しい | 代理人(家族等)による手続きが認められる場合があります。委任状・代理人の本人確認書類が必要です。保険会社によって手続き方法が異なるため、事前にコールセンターにご相談ください。 |
| 解約と「失効」の違いがわからない | 「保険料を払わなければ自動的に解約になる」と誤解している | 「失効」は保険料未払いにより保障が停止した状態です。解約とは異なり、失効後も一定期間内なら「復活(復旧)」できる場合があります。失効状態で解約返戻金を受け取りたい場合は保険会社にご確認ください。 生命保険文化センター |
| 解約返戻金に税金がかかるかどうかわからない | 一時所得の計算式や確定申告の要否が不明 | 受け取った解約返戻金から払込保険料合計を引いた差益から、特別控除50万円を差し引いた金額が0以下であれば所得税は発生しません。計算式は国税庁No.1490を参照。判断に迷う場合は最寄りの税務署または税理士にご相談ください。 国税庁 No.1490 |
| 解約を申し込んだが返戻金がいつ振り込まれるかわからない | 振込スケジュールが不明 | 書類が保険会社に受理されてから通常3〜7営業日程度で振り込まれますが、保険会社・商品によって異なります。書類を送付した後、保険会社に振込予定日を電話で確認することをおすすめします。 |
よくある質問
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いいえ、解約返戻金があっても必ず税金がかかるわけではありません。税金が発生するのは、受け取った解約返戻金が支払った保険料の合計額を上回り、かつ一時所得の特別控除(最高50万円)を差し引いた後の利益に課税対象となる部分がある場合です。
支払保険料合計を下回る場合(元本割れ)は所得税が発生しません。また、契約者と受取人の関係によっても課税の種類が異なります。個別の状況については税理士または管轄の税務署にご相談ください。
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状況によります。給与所得者(会社員)の場合、解約返戻金を含む給与以外の所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です(国税庁No.1903)。
ただし、一時払養老保険等で保険期間が5年以下の場合は源泉分離課税(20.315%)が適用され、確定申告は不要となります(国税庁No.1755)。どちらに該当するかは商品の種類によって異なるため、保険会社または税理士にご確認ください。
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解約のタイミングによっては、払い込んだ保険料の合計額を下回る「元本割れ」が起こることがあります。特に加入後の早い段階での解約、および低解約返戻金型の終身保険の払込期間中は返戻率が低い傾向があります。
「損か得か」の判断は保険の種類・加入期間・他の保険の状況・家計のニーズによって異なります。解約前に保険会社へ現時点の解約返戻金額を確認し、必要に応じてFP(ファイナンシャルプランナー)や保険会社の担当者に相談することをおすすめします。
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はい、解約返戻金がほぼゼロまたは非常に少額の保険があります。定期保険・収入保障保険・医療保険・がん保険などは、保障に特化した設計のため解約返戻金がほとんどありません。終身保険や学資保険・個人年金保険は一般的に解約返戻金があります。保険証券や保険会社への問い合わせで確認できます。
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払済保険は、保険料の払い込みを止めてその時点の解約返戻金をもとに保障を続ける方法です。解約のように保障が消えるわけではありません。保険料の支払いを停止しながら一定の保障(保険金額は下がる)を継続できるため、「保険料を払い続けるのが厳しい」という場合の代替手段として有効です(生命保険文化センター参照)。
払済保険への変更手続きは保険会社へ申し込みます。元の契約に戻す(復旧)は一定期間内に限り可能な場合があります(保険会社によって異なります)。
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契約者貸付とは、解約返戻金の一定割合(通常70〜90%程度)を上限として保険会社から低金利で借り入れができる制度です。保険契約を解約せずに資金を確保できるため、一時的な資金需要がある場合に有効な選択肢です。ただし、借り入れた金額には利息が発生し、返済しないと保険金や解約返戻金から相殺されます。利率・利用条件は保険会社・商品によって異なるため、保険会社にご確認ください(生命保険文化センター参照)。
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確定申告の期限は、翌年の2月16日から3月15日までが原則です。たとえば2026年中に解約返戻金を受け取った場合は、2027年の2月16日〜3月15日が申告期間です。
ただし確定申告が必要かどうか(20万円超の判定)や、源泉分離課税の対象か否かは保険の種類によって異なります。判断に迷う場合は税理士または最寄りの税務署にご相談ください。